「“マンブー”なんて言葉に負けない——OW2を女性目線で語る、実力と偏見の話」

ひとりごつ

Overwatch 2をプレイしていると、女性プレイヤーであるがゆえの偏見にぶつかることがある。
「そのランク、マンブーでしょ?」
そんな一言が、どれほど心を削るか知っている人は少ないだろう。
この記事では、女性目線で“マンブー”問題を考えながら、「性別ではなく実力で語られるゲームの楽しみ方」について綴っていく。

第1章:私が「女性だから実力を認められない」と感じた瞬間

「そのランク、マンブーでしょ?」
ボイスチャットに入った瞬間、そう言われたことがある。Overwatch 2 を始めたばかりの頃、まだ緊張しながらピックを選んでいた私に飛んできたその一言は、正直、プレイ内容よりもずっと心に刺さった。今思えばただのノンデリ陰キャ弱男乙で黙らせられたと思うけど当時の私の語彙にはそんなスラングなかった。

私は確かに努力してきた。Aim練習を毎日続け、メタの変化を追い、味方の動きを分析して立ち回りを改善してきた。それでも、「女だから上手くない」「キャリーしてもらってるだけ」――そんな決めつけが、何度も私の耳に届いた。

女性プレイヤーが少ないコミュニティでは、「女性」というだけで注目される。けれど、その注目は必ずしも歓迎できるものではない。「あ、女の子だ」と言われた瞬間、プレイ内容ではなく“性別”で評価されていると感じることが多い。試合に勝っても、「どうせ誰かがキャリーしたんでしょ」と軽く流される。

それが一度や二度ではなく、日常的に起こるからこそ、心がすり減る。
私はただ、チームの一員として、同じ土俵で戦いたいだけなのに。

第2章:“マンブー”とは何か — ランクを巡る女性プレイヤーへの偏見

Overwatch 2(OW2)のコミュニティでしばしば耳にする「マンブー」という言葉。
これは「マン(男)ブースト(boost)」の略(もう一個下ネタチックなのあるけどここでは省略)で、男性プレイヤーにキャリー(実力で引っ張り上げてもらうこと)されてランクを上げている女性を揶揄するスラングである。

つまり、「女性は自分の実力でそのランクに到達していない」という偏見を含んでいる。
この言葉が軽く使われるたび、努力して上達してきた多くの女性プレイヤーたちのモチベーションを削いでしまう。

もちろん、ブーストそのものはルール上問題視される行為だ。だが、「ランクが高い女性=ブーストされた」と決めつけるのは、まったく別の話だ。私自身、ボイスを入れた瞬間に態度が変わる味方を何度も見てきた。「女の声だ」「マンブーだろ」——それだけで戦う前から評価が下がる。

実際、OW2はチーム連携が勝敗を左右するゲームだ。サポートの位置取り一つ、タンクの押し引き一つで試合の流れが変わる。そこに「性別」が関係する余地はない。にもかかわらず、「女だから上手くない」「どうせ男にキャリーされてる」といった偏見が根強く残っている。

この“マンブー”というレッテルは、単なるネタや冗談の域を超えて、女性プレイヤーの存在そのものを疑う言葉になってしまっているのだ。

第3章:「女性だから下手」ではなく、「女性でも実力で戦っている」私の視点

私は女性であり、同時に一人のゲーマーである。
OW2をプレイしていると、まるでこの二つが両立しないかのような扱いを受けることがある。けれど、私にとってはそれは当然に共存するもので、性別がプレイの質を左右するわけではない。

上達のために努力しているプレイヤーなら、男女問わず同じように壁にぶつかり、同じように成長していく。
エイムを安定させるための練習、リプレイを見直しての反省、味方とのコミュニケーションの改善。私も何度も悔しい思いをしながら、ひとつずつ積み上げてきた。
それでも、ボイスチャットで声を出した瞬間に「女の子だ」「キャリーしてもらってるんでしょ」と言われるたび、努力の価値が一瞬で軽く見られる気がして悔しかった。

だが、私はもうそこで引かない。
「マンブーでもいいじゃん」と冗談めかして返すこともあるけれど、心の中ではこう思っている。
――もし誰かと一緒にプレイして強くなったなら、それも立派な“実力”の形だ、と。

誰だって最初は下手だし、上手くなるために他人とプレイするのは自然なことだ。
仲間と切磋琢磨して勝ちを重ねる過程は、決して“ズル”ではない。
だから私は、「女性だから」「誰かに支えられてるから」といった理由で、自分の成果を小さく扱われるのが一番悔しい。

私は“女性プレイヤー”という枠ではなく、“一人のプレイヤー”として認められたい。
そして、それは私だけでなく、たくさんの女性ゲーマーが願っていることでもあるだろう。

第4章:Kim Se‑yeon(通称:Geguri) — 偏見を覆すひとりの女性プレイヤー

https://www.rejectedprincesses.com/wp-content/uploads/2018/02/56554c52a73cc88ddee8fcc8579471dc.jpg

私がここで紹介したいのは、OW2(およびその前身のOverwatch League)において、性別の壁を体現的に突破した女性プレイヤー、Geguriである。

プロフィール概要

  • 本名は Kim Se-yeon(キム・セヨン)。女性プロゲーマーの先駆者である。 ウィキペディア+2ESPN.com+2
  • 2018年に上海ドラゴンズ(Shanghai Dragons)に加入し、Overwatch League史上「最初の女性選手」となった。 ESPN.com+1
  • 加入前、優れたZarya(タンクヒーロー)プレイヤーとして活躍し、その高いAIM精度から“チート疑惑”を向けられたが、実力を証明して乗り越えた。 ウィキペディア+1

なぜ彼女の存在が重要か

Geguriのキャリアは、「女性だから実力がない」という偏見に対する明確な反証になっている。例えば、彼女は疑われた不正を受けて実証ライブを敢行し、その真価を証明した。 Rejected Princesses
また、彼女の加入は「女性プレイヤーでもリーグの舞台に立てる」という希望の灯として多くの女性ゲーマーに影響を与えた。 ESPN.com

私たちが学べること

  • 性別ではなく「スキルと努力」でプレイヤーを評価すべきであるという実例が彼女にある。
  • ブースト疑惑や偏見にさらされたとき、声を上げて立ち向かう強さが希望となる。
  • 「女性だから」「男性だから」という前提を捨て、ゲームを純粋に楽しむ態度を育てるべきだというメッセージでもある。

第5章:男性/女性を問わず、対等に楽しめる環境を求めて

OW2のようなチームシューターは、誰もが協力して勝利を目指すゲームであるはずだ。
それなのに、いまだに「女性だから下手」「マンブーだから信用できない」といった言葉が飛び交う環境では、純粋に楽しむことが難しい。

私は、女性プレイヤーが特別扱いされたいわけではない。
ただ、同じプレイヤーとして対等に扱われたいだけだ。上手ければ称賛され、ミスをすれば反省する――その評価基準を「性別」ではなく「プレイ内容」で決めてほしいと思っている。

また、女性プレイヤー側も“被害者”としてだけでなく、“変えていく側”としての意識を持つことが大切だと感じる。
偏見に出会ったときに黙り込むのではなく、冷静に伝える。「そういう言葉は悲しい」と一言添えるだけでも、空気が変わることがある。
私自身も最初は怖かったが、そうして少しずつ環境を良くしていく仲間が増えているのを実感している。

そして男性プレイヤーにもお願いがある。
「女だから」「可愛い声だから」といった偏見を手放し、ただの仲間として接してほしい。
ボイスで性別を判断する前に、画面の中で共に戦う一人のプレイヤーとして向き合ってもらえたら、それだけで救われる女性は多いだろう。

ゲームは、誰かを排除するためのものではない。
勝ち負けを超えて、同じ時間を共有する“楽しさ”を追い求める場所であるべきだ。

第6章:結び — 性別ではなく“実力”で語ろう、男女関係なく楽しみたい

「女だから」「男だから」——そんな言葉が、ゲームの世界からいつかなくなってほしいと心から思う。
Overwatch 2を通して私が学んだのは、誰もが同じフィールドで戦っているということだ。マウスを握る手が女性であろうと男性であろうと、勝敗を決めるのは“プレイ”そのものである。

確かに、偏見や心ない言葉に傷つく瞬間はある。
でも、それ以上に、良い仲間と出会い、連携して勝利をつかむ瞬間の喜びは、どんな差別的な言葉よりも強い。
努力して勝ったときの達成感、味方に「ナイス!」と褒められたときの嬉しさ、それは誰にでも等しく与えられるはずだ。

“マンブー”と揶揄されるような状況があったとしても、そこに努力や工夫があるなら、それもまた実力の一つの形だと私は思う。
助け合いながら上達するのは、チームゲームの本質であり、恥じることではない。

だからこそ、私はこれからも声を上げたい。
女性だから軽く見られることに屈せず、ゲームを心から楽しむプレイヤーとして戦い続けたい。

性別で判断される時代は、もう終わりにしたい。
“誰が”プレイしているかではなく、“どんなプレイをしたか”で語られる世界こそ、本当の意味で公平なゲームコミュニティだ。

私はただ、OW2を――そしてゲームを――男女関係なく、みんなで楽しみたい。

タイトルとURLをコピーしました